前回の大きな廃棄物処理法改正は、2017(平成29)年に議論が始まり、国会での審議・可決を経て、2018(平成30)年4月1日から改正法の大部分が施行されました。2018年以降に施行された内容は、
・2019年4月1日から施行「電子マニフェストの情報登録センターへの報告期限」に関する改正
・2020年4月1日から施行「電子マニフェストの一部事業者への使用義務化」に関する改正
でした。
2017(平成29)年改正時の「附則」には、
と定められており、上記の2020年4月1日の完全施行後5年を経た今年(2025年)から、
・新法(2017年改正法)の施行状況を勘案し
・新法(2017年改正法)の規定について検討を加え、
・検討結果に基づいて必要な措置(廃棄物処理法改正の意味)を講じていく
ことになります。
最初の施行日である「2018年4月1日」ではなく、完全施行された「2020年4月1日」が、次の法律改正検討の起算点になっているわけですね。
附 則 (平成二九年六月一六日法律第六一号)
第五条(検討)
政府は、附則第一条第二号に規定する規定の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第五条(検討)
政府は、附則第一条第二号に規定する規定の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
・新法(2017年改正法)の施行状況を勘案し
・新法(2017年改正法)の規定について検討を加え、
・検討結果に基づいて必要な措置(廃棄物処理法改正の意味)を講じていく
ことになります。
最初の施行日である「2018年4月1日」ではなく、完全施行された「2020年4月1日」が、次の法律改正検討の起算点になっているわけですね。
せっかくの機会ですので、「附則」に関する参議院法制局の解説をご紹介しておきます。
法律の規定は「本則」と「附則」から構成され、本則には、法令の本体的部分となる実質的な定めが置かれるのに対して、附則には、本則に定められた事項に付随して必要となる事項が定められることとなっています。このように聞くと、附則に規定される事項はあまり重要ではないようにも思われてしまうかもしれませんが、附則にも本則に劣らないほど重要な事項が定められることが多々あります。
※出典 参議院法制局 「見落とせない附則」
上記の附則の中に、既にご紹介した「検討(事項)」が置かれることが多く、「検討」の存在意義については次のように解説されています。
「法律を作って終わり」、あるいは「法律を一度改正すれば終わり」ではなく、その後の社会状況の変化と照らし合わせて、法律に問題点が発生していないかを定期的にチェックさせる規定になっています。
「検討条項」があることにより、「法律」という「社会インフラ」は「作って終わり」ではなく、定期的にメンテナンスや故障個所のチェックが行われることになりますので、大変重要な存在と言えます。
附則に検討条項(見直し規定)が置かれることがあります。検討条項とは、法律の施行後一定の時期において、法律の施行の状況や社会情勢の変化等をみて検討を加えた上で、所要の措置を講ずることを政府等に義務付ける規定です。
※出典 参議院法制局 「見落とせない附則」「法律を作って終わり」、あるいは「法律を一度改正すれば終わり」ではなく、その後の社会状況の変化と照らし合わせて、法律に問題点が発生していないかを定期的にチェックさせる規定になっています。
「検討条項」があることにより、「法律」という「社会インフラ」は「作って終わり」ではなく、定期的にメンテナンスや故障個所のチェックが行われることになりますので、大変重要な存在と言えます。
さて、本題に戻り「新たな廃棄物処理法改正の動き」についてですが、2025(令和7)年2月18日に「中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会(以下、「小委員会」)」の第1回会合が開催され、法改正に向けた具体的な議論が始まりました。
今回の小委員会での審議予定事項としては、2024(令和6)年12月13日に開催された「第58回 中央環境審議会循環型社会部会」で、
と、既に明らかにされています。
第1回小委員会を環境省のYouTubeチャンネルで視聴いたしましたが、上記の4点が「廃棄物・資源循環分野における現下の主な課題」という資料の中で掲げられていましたので、この案のとおりに審議が進められていくことになりそうです。
検討議題を見る限りでは、排出事業者や処理業者への罰則強化、あるいは規制強化という内容ではなく、国としての廃棄物処理政策や、資源リサイクルに関する日本の国際的な役割強化といった、これまでにはあまり見られなかった大局的・国際的な観点に立つ議論となりそうです。
今回の小委員会での審議予定事項としては、2024(令和6)年12月13日に開催された「第58回 中央環境審議会循環型社会部会」で、
- ・有害使用済機器届出制度の点検・見直し等
- ・災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理に関する制度の点検・見直し(平成27年廃棄物処理法等改正の附則に基づく施行状況等の検討)
- ・処理期限以降に覚知された PCB 廃棄物の適正処理の確保の仕組み
- ・適正処理を前提とした資源循環の取組の強化のための方策
第1回小委員会を環境省のYouTubeチャンネルで視聴いたしましたが、上記の4点が「廃棄物・資源循環分野における現下の主な課題」という資料の中で掲げられていましたので、この案のとおりに審議が進められていくことになりそうです。
検討議題を見る限りでは、排出事業者や処理業者への罰則強化、あるいは規制強化という内容ではなく、国としての廃棄物処理政策や、資源リサイクルに関する日本の国際的な役割強化といった、これまでにはあまり見られなかった大局的・国際的な観点に立つ議論となりそうです。
小委員会の今後の開催予定としては、
とされています。本稿が皆様に届く際には、3月上旬開催予定の第2回会合が終わっている可能性があります。
上記のテーマの中では「資源循環の推進」が、読者の皆様にとってもっとも関わりが深いものと思います。次回、可能であれば、第2回会合での議論の結果について触れつつ、廃棄物処理法改正の具体的な方向性について考察いたします。
- ・3月上旬 関係者ヒアリング(資源循環の推進、PCB 関係)
- ・4月上旬 論点・課題の整理(災害廃棄物関係)
- ※災害廃棄物対策推進検討会の関係者ヒアリング結果も事務局から報告
- ・4月下旬 論点・課題の整理(資源循環の推進、PCB 関係)
- ・以降、必要な対策や制度の方向性等の検討、中間取りまとめを行う
上記のテーマの中では「資源循環の推進」が、読者の皆様にとってもっとも関わりが深いものと思います。次回、可能であれば、第2回会合での議論の結果について触れつつ、廃棄物処理法改正の具体的な方向性について考察いたします。
(2025年03月)