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「廃棄物処理法施行規則改正」(第4回 PRTR法対象事業者の委託契約書への追記方法)

Author

行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 前号では、PRTR法対象事業者が産業廃棄物処理委託契約書に「第一種指定化学物質」の含有量等を記載すべき時期の詳細を解説しました。
 前号でも「どのように記載すべきか」についても簡単に触れましたが、今号はその注意点を具体的に解説するとともに、まとめ記事として関係する廃棄物処理法施行規則改正内容のおさらいをしておきます。

 まずは、産業廃棄物処理委託契約書への追記が必要な排出事業者の条件を明確にしておきます。

「廃棄物処理法施行規則改正」(第4回 PRTR法対象事業者の委託契約書への追記方法)画像1

 講演をした際に意外と多くの方から同じ質問をいただきますので、同じ疑問で悩んでいる方が多いかもしれません。
 今回のテーマである「PRTR法の第一種指定化学物質の追記義務」の対象は、「上記の2点が両方とも当てはまる排出事業者だけ」です。PRTR法の対象とされていない排出事業者については、産業廃棄物処理委託契約書の記載を変更する必要はまったくありません。
 また、PRTR法に基づく届出をしている排出事業者であっても、委託する産業廃棄物に届出をした第一種指定化学物質が含有または付着していない場合は、同様に契約書の記載を変更する必要はありません。

 次に、産業廃棄物処理委託契約書への追記が必要となるタイミングは、「令和8年1月1日以降に契約更新となる日から」となります。

「廃棄物処理法施行規則改正」(第4回 PRTR法対象事業者の委託契約書への追記方法)画像2

 最後に、「既に締結している委託契約書を、どのように修正すれば良いのか」について解説します。
 PRTR法対象事業者の対応方法は、大きく分けて二つあります。
 一つ目は、PRTR法届出対象物質に関する情報を盛り込んだ新たな産業廃棄物処理委託契約書を作成し、改めて締結し直す方法です。
 法令遵守の観点では最も確実な方法ですが、契約書の再作成や押印、印紙税の負担など、事務的・コスト的な負担が生じる点は否めません。

 二つ目は、既存の委託契約書に対して必要事項を追記する方法です。
 具体的には、覚書や変更契約書を作成し、PRTR法関連の情報について双方で合意する形が考えられます。
 多くの排出事業者にとっては、こちらが現実的な対応策となるでしょう。

 すでに廃棄物データシート(WDS)を作成し、契約書に添付している場合は、そのWDSを「第一種指定化学物質」を記載したものに更新し、新しいWDSに差し替えることが、もっとも簡単な方法です。

 「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」は令和7年10月に第3版に改訂され、PRTR法届出情報を含めた新様式が示されていますので、今後は、この新様式を前提とした情報提供が実務の主流になっていきます。
※環境省「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」https://www.env.go.jp/recycle/misc/wds/index.html

 なお、既存の委託契約書に廃棄物データシート(WDS)を添付する形で対応する場合には、いくつか注意すべき点があります。
 PRTR法関連情報を記載する際には、単に「対象物質名を列挙すれば足りる」というものではなく、廃棄物中に含まれる物質の性状や取扱い上の留意点との整合性が重要となります。

 特に、PRTR法届出内容とWDSの記載内容に齟齬が生じている場合、排出事業者から処理業者への情報提供が十分であったとは言い難く、実務上のトラブルの端緒となるおそれがあります。
 また、処理業者の許可内容や処理方法と関係のない情報まで過度に記載すると、かえって誤解を招く可能性も否定できません。

 そのため、WDSへの記載にあたっては、「処理の適正確保に必要な範囲で、かつ、客観的に説明可能な内容にとどめる」という視点が重要になります。
 環境省が示す最新の「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」や様式例を参照しつつ、自社の排出実態に即した記載内容となっているかを、あらためて確認しておきましょう。

(つづく)
(2026年01月)

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