2026年1月9日付で、環境省から「今後の廃棄物処理制度のあり方について(意見具申)(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について」が公表されました。
※意見募集期間は令和8年1月9日(金)から令和8年2月7日(土)までの30日間でしたので、本稿配信時点ではパブリックコメントの募集は終了しています。
意見具申案では、近年顕在化している課題を踏まえ、廃棄物処理制度の見直しの方向性が、3つの検討テーマごとに整理されています。
今号では、意見具申案で示された「見直しの方向性」について、3つの検討テーマごとにポイントを整理します。
1.不適正なスクラップヤード対策等及び使用済リチウム蓄電池等への対応
意見具申案では、雑品スクラップや使用済鉛蓄電池等を取り扱う事業活動において、火災、悪臭、騒音、土壌汚染などの生活環境保全上の支障が各地で生じていることが指摘されています。
これらは、廃棄物に該当しない、又は該当性判断が困難なケースも多く、現行の廃棄物処理法の枠組みでは十分な対応が困難である点が課題とされています。その上で、生活環境保全の観点から、全国的に統一された制度的対応を検討すべきとされています。
この「制度的対応」の中核として想定されているのが、許可制や届出制など、事前関与型の制度措置の導入です。
意見具申案の記載から読み取れる範囲では、以下のような制度構成が想定されます。
- (1)対象となる物品
使用済鉛蓄電池、使用済リチウム蓄電池の他、生活環境保全上の配慮が必要な金属スクラップや雑品スクラップ - (2)許可あるいは届出の主体
廃棄物に該当しない、雑品スクラップや使用済鉛蓄電池等の保管・処分を業として行う事業者 - (3)許可要件・管理基準として想定される内容
・保管方法・保管量・保管期間に関する基準
・ 火災防止措置(分別、隔離、消火設備等)
・ 屋外保管に関する構造・配置の基準
・ 周辺生活環境への配慮(騒音・悪臭・汚水対策)
・ 帳簿・記録の作成、トレーサビリティ確保 - (4)使用済リチウム蓄電池等への対応
使用済リチウム蓄電池等の混在防止や管理方法については、安全対策の観点から重点的な規制が行われる可能性が高いと考えられます。
意見具申案では、スクラップヤード側だけでなく、排出段階における適切な分別・情報伝達の重要性も指摘されています。具体的には、「排出事業者が提供すべき含有情報の明確化」「処理委託契約書等での情報記載の充実」等、不適切な引渡しを防止するための排出事業者責任等が、制度上より明確化される可能性があります。
2.PCB廃棄物への対応
PCB廃棄物については、高濃度PCB廃棄物の処理事業が終了時期を迎える一方で、解体工事等の現場から、今後も散発的に発見される可能性があるとされています。そのため、廃棄物処理法に基づく無害化認定制度の対象に高濃度PCB廃棄物を追加し、あわせて無害化設備に付加する前処理技術に関する基準を新たに設けるべきとされています。
また、新たに発見された高濃度PCB廃棄物や高濃度PCB使用製品については、現行の処理期限を徒過していることから、廃棄物として取り扱うことを明確化し、引き続き、保管事業者及び処分を行う者が、保管・処分状況等を都道府県知事へ届け出る仕組みを維持するとされています。
低濃度PCB廃棄物については、処理期限後も新たな発生が見込まれ、国際的な化学物質管理の枠組みとの整合性を確保した対応が求められています。意見具申案では、低濃度PCB廃棄物の処理期限後を見据え、低濃度PCB使用製品を使用段階から把握・管理する新たな制度の創設が提案されています。
具体的には、今後は低濃度PCB使用製品の所有事業者に対して、当該製品の管理状況や将来の廃棄見込みについて、都道府県知事への届出を義務付ける方向が示されています。
また、PCBの使用が明らかでない製品についても、製造年代等からPCB使用が疑われる範囲を整理し、PCB使用疑い製品として管理対象に含める対応が検討されています。
低濃度PCB使用製品については、紛失やPCBの飛散・流出を防止するための管理基準を定めるとともに、譲渡等により所有事業者が変更される場合には、事前に行政へ届け出る仕組みとすることが提案されています。あわせて、所有事業者や保管事業者の倒産等により管理が途切れる事態も想定した制度設計が求められています。
さらに、使用を終了して廃棄する際には、都道府県知事への届出の上、一定期間内に自ら処分又は処分委託を行い、その処分状況を届け出る仕組みを維持・見直す方向が示されています。
今回の意見具申案は、低濃度PCBを「廃棄物となってから管理する」のではなく、使用中から計画的に管理する制度への転換を示すものと言えます。
3.災害廃棄物への対応
近年の自然災害の頻発・激甚化を踏まえ、意見具申案では、災害廃棄物への対応が重要な検討テーマとして位置付けられています。
これまでの災害対応では、発災後に特例的な措置を講じるケースが多く、人材やノウハウの継承、体制の持続性が課題とされてきました。
意見具申案では、「公費解体・災害廃棄物処理を横断的に調整支援する専門支援機能(機関)の規定整備」「一般廃棄物処理計画・災害支援協定に基づく災害廃棄物処理に係る特例措置等の整備」「廃棄物最終処分場での災害廃棄物の受入容量確保に係る特例制度の創設」が論点として挙げられています。
(つづく)
(2026年02月)


