前号では、太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律の立法背景と全体設計を解説しました。第2回は、この法律が対象とする「太陽電池」の定義を取り上げます。
太陽光パネルであれば何でも対象になるわけではなく、この線引きによって義務の有無が変わるため、実務上重要なポイントになります。
法律上、「太陽電池」に該当するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- ● 太陽光を電気に変換する機器であること
- ● 板状であり、ガラスを材料として使用した部品を含む機器であること
- ● 重量が政令で定める基準以上であること
- ● 廃棄物となった場合の再資源化等が技術的・経済的に可能かつ有効なものとして、政令で定める種類であること
対象になる技術・ならない技術
現在の太陽光パネル市場で約95%のシェアを占めるシリコン系(単結晶・多結晶・アモルファス等)は、原則としてリサイクル可能であり対象に含まれます。
一方、CIS系・CdTe系などの化合物系(市場の約5%)は、含有する有害物質の種類や経済性の観点から一部のみが対象とされます。
また、有機薄膜系や次世代技術として注目されるペロブスカイト系は、現時点では技術開発中であることから、当面は対象外と見込まれています。
条文には似た用語がいくつも登場しますので、以下、それぞれの用語の対象範囲を整理します。
| 用語 | 定義の概要 |
|---|---|
| 事業用太陽電池 | 太陽電池のうち、収益事業で使用されるものとして政令で定める種類 |
| 太陽電池廃棄者 | 太陽電池の廃棄をし、またはしようとする者 |
| 事業用太陽電池廃棄者 | 事業用太陽電池の廃棄をし、またはしようとする者 |
| 多量事業用太陽電池廃棄者 | 廃棄予定の事業用太陽電池の重量が政令で定める基準以上となる事業用太陽電池廃棄者 |
| 再資源化 | 廃棄物の全部・一部を部品や原材料等として利用できる状態にすること(熱回収は含まない) |
| 再資源化等 | 再資源化に加え、熱回収(燃焼の用に供することができる状態にすること)を含む概念 |
たとえば、太陽電池廃棄物から回収したものを原材料等として再利用できる状態にすることは「再資源化」ですが、燃焼可能な部分を熱利用できる状態にすることは「再資源化」には含まれず、「再資源化等」に含まれます。
したがって、「再資源化等を行えばよい」という規定と、「再資源化を行う」という規定とでは、認められる処理方法の範囲が異なります。条文中でどちらの語が使われているかによって、求められる処理の中身が変わってくるため、正確な読み分けが必要です。
「太陽電池」と「事業用太陽電池」は同じではない
この法律では、「太陽電池」のうち、「収益事業において使用され、又は使用されていたものとして政令で定める種類」を「事業用太陽電池」と定義しています。
つまり、「太陽電池」すべてが、「事業用太陽電池」規制の対象となるわけではありません。
具体的には、第7条以下で廃棄の抑制や再資源化等について具体的な措置の対象とされるのは、「事業用太陽電池」の廃棄者です。
太陽光発電事業に使用されているパネルは典型的な「事業用太陽電池」の対象となりますが、「事業用太陽電池」の具体的な定義については、今後政令で定められる予定です。
「太陽電池廃棄者」とは
「太陽電池廃棄者」とは、「太陽電池の廃棄」をし、またはしようとする者をいいます。
ここでいう「太陽電池の廃棄」とは、太陽電池を太陽電池廃棄物とするとともに、その処分方法を選択し、自ら排出し、又は他の者に工事若しくは作業を行わせて排出させることをいいます。
したがって、実際に太陽電池を取り外した者や、廃棄物を物理的に排出した者が、当然に「太陽電池廃棄者」となるわけではありません。
「太陽電池廃棄者」に該当するかどうかは、この法律が定める「太陽電池の廃棄」の定義に基づいて判断する必要があります。
次号では、この法律における各当事者(排出事業者・処理事業者・製造業者等)それぞれの責務を解説します。
(2026年10月)


